埼玉県さいたま市、川口市、
東京都北区、板橋区などから
起業や会社設立、確定申告他
日本政策金融公庫の創業融資
のお問い合わせをいただいております
北区創業融資センター@赤羽駅前こと
田口通税理士事務所の税理士の田口です。
よくある質問に
日本政策金融公庫の融資では、
個人より法人のほうが有利では?
というものがあります。
日本政策金融公庫のHPの
「公庫利用のQ&A」には、
創業での融資申込みに関しては、
個人と法人では大きな違いはないと
書かれています。
(法人では登記書類を前提としていますが)
そのため、創業時においては、
個人と法人ではそれほど違いは
ないと言えます。
ただし、創業後2期以上経過すると、
個人事業主でも
法人に比べてメリットが出てくる
可能性があると思います。
(あくまでケースバイケースですが)
理由は以下の3点です。
①代表者への貸付金が決算書にのらない
②過去の申告書を紛失しても簡単に写せる
③社会保険等を考慮すると返済原資が確保しやすい
以下、あくまで個人的な見解であり、
個別のケースについては、
無料相談等をご活用ください。
青色申告で65万円の特別控除を受ける場合、
貸借対照表を作成しなければなりませんが、
個人事業主の場合、代表者の生活費は
店主貸などで計上されます。
この店主貸は繰越時には、
元入金となり、翌期は0から始まります。
法人の場合、役員報酬以外に
こうした代表者の個人的な支出をすると、
役員賞与ないし代表者への貸付金として
損金にならないだけではなく、
翌期の貸借対照表に繰り越されることがあります。
こうした役員への貸付金が増えると、
見た目の利益はよくなり、
ともすると粉飾かと疑われ
公庫担当者の印象が悪くなります。
その点、個人事業主の場合、
代表者への貸付金が
期をまたいで累積しない分、
貸借対照表を見て
公庫担当者の印象が悪くなるということは
法人にくらべ少ないかと思います。
もっとも単年度分の
店主貸が過大な場合は話は別です。
自分で確定申告をしている人の場合
まれに過年度の申告書を紛失することがあります。
公庫では、個人でも法人でも
直近2期分の申告書・決算書が必要ですが、
個人事業主の場合、
法人よりも税務署への提出書類が少ないことが多く
過年度の申告書を紛失して
税務署で写す場合も
それほど手間がかからないことがあります。
もっとも
申告書の控えは保管していることが多く、
こうした点がメリットと言えるほどでは
ないと思います。
また、安易に融資のために
過年度の申告の閲覧を税務署に要請すると
断られることもありますのでご注意ください。
法人の場合、
赤字でも均等割という税金を支払いますし、
従業員が1人以上いると
社会保険が強制加入となり、
お金は出てゆきます。
なにより事業主に役員報酬を
毎月定額で支払うと、
赤字になることも多く
借入の返済原資は、
個人事業主に比べ
確保しにくいのが実状かと思います。
もっとも
法人でも役員報酬を下げるなどの
調整は決算後可能ですが、
その時々の事業主の生活状況に応じ、
事業主の生活費を臨機応変に調整し、
借入の返済原資を確保するとしたら
意外と個人事業主のほうが
柔軟な対応ができるのではと思います。
おわりに
このコラムは、
会社設立の相談が増える中で
個人事業主のメリットについて
再度、検討する試みの一つとして書きました。
法人のメリットを
決して否定するつもりはありませんので
あくまで参考の一つとして受け取って
いただければと思います。