確定申告をすると
税務署から還付金が戻ってくるためか
年末調整をしても
税務署から還付金が戻ってくると
考えるかたもいるようです。
国税庁の令和元年分
「年末調整のしかた」の66ページには
年末調整で生じた
過納額の還付について
税務署ではなく
給与の支払者が還付することが
はっきり書かれています。
過納額とは
1年を通じて給与から引かれた源泉所得税のうち
年末調整で計算した源泉所得税よりも
多い部分です。
もしもこの過納額がそのまま
税務署に納められてしまっていたとしたら
税務署は年末調整の還付金を
会社の口座等に振り込んでくれるかもしれませんが
過納額は年末調整において
精算され年末調整後の源泉所得税が
税務署に納付されるため
税務署は年末調整の還付金を戻さなくてもいいのです。
確定申告で税務署から
還付が生じるのは
年税額の確定の報告は
税務署に提出する申告書によってなされるからです。
年末調整では
個々の給与所得者の年税額の確定の報告は
給与支払者に対してなされます。
給与所得者の場合
給与支払者に扶養や保険料の報告をすれば
給与支払者のほうで
年間の給与、源泉所得税、社会保険料を
把握しているため
給与所得者の年税額を確定することができます。
そうなると
税務署を介さずとも
給与支払者のほうで
直に給与所得者に源泉所得税を還付して
還付した残りを税務署に納めれば
こと足りてしまいます。
年末調整で税務署からの還付金がない
ということは
給与所得者が直に
税務署に確定申告しなくても
税額が確定できることの裏返しとも言えます。
こうして
給与所得者が年末調整より
確定申告しなくても済むということは
税務署からしたら
事務処理が増えなくていいのかもしれませんが
その一方で
自ら確定申告しなくてもいい分
納税意識が希薄になるのではないか?
という疑問もあります。
学者の中には年末調整廃止論を
唱えるひともいるくらいです。
もっとも
国税庁の「年末調整のしかた」など
は112ページもあり
ほとんどの会社で読まれないためか
年末調整でさえ煩雑なのに
サラリーマンに確定申告を押し付けて
納税意識が高まるのか
という疑念も生じたりします。
とにかく
年末調整の還付金は税務署ではなく
給与支払者が還付します。
そこにひそむ問題点を
議論するのは
学者の仕事だと思います。