昨今、電子帳簿保存法の改正が話題になっていますが
電子帳簿保存法が改正されたからといって
紙保存が一切、認められないということでもありません。
これからの帳簿書類は、紙保存とデータ保存のどっちがいいのか
個人的な見解を書いてみます。
目次
・紙保存のメリット、デメリット
・データ保存のメリット、デメリット
・紙保存とデータ保存のどっちがいいか
帳簿書類には、請求書、領収書、注文書、納品書
仕訳帳、総勘定元帳などが含まれます。
電子帳簿保存法の適用の対象となるのは
あくまでこれらの帳簿書類をデータ保存している場合であり
従来通り、紙保存している場合は、適用対象外と考えられます。
帳簿書類を紙保存するメリットとしては
紙保存に慣れ親しんだ事業者にとって
従来のやり方を継続できるという安心感や
データよりも紙のほうが、閲覧しやすいといった視覚的効果、
パソコンに不慣れな方でも紙保存なら、対応しやすいこと
などが、あげれらると思います。
その一方で、紙保存のデメリットとして
帳簿書類が複数年にわたって、たまってくると
保管のスペースがなくなってきて
別途、創庫に移す手間などが生じてくるなど
帳簿書類の管理が、データ保存に比べて
煩雑になってくるといったことがあげられます。
帳簿書類をデータ保存するメリットは
紙保存による管理の煩雑さを解消したり
帳簿書類をディスプレイ上で閲覧しながら
テレワークをしやすくしたりする点です。
データ保存する場合
「優良な電子帳簿」に該当したら
過少申告加算税が5%減額される点もメリットもあるかもしれませんが
「優良な電子帳簿」として管理する手間を考慮した場合
それが、メリットと言えるかどうかは、微妙なところでしょう。
データ保存のデメリットとしては
そもそも論として、自社に適したデータ保存の要件を
国税庁の「一問一答」などを通じ
確認するなどの手間がかかる点があげられます。
また、スキャナ保存したデータや電子取引情報の
データに隠ぺい仮装などの行為があったら
重加算税の額が10%割り増しになったりします。
2022年6月の現時点で
紙保存とデータ保存のどっちがいいかについて
軍配を上げることは、できません。
このコラムでは
紙保存とデータ保存のメリット、デメリットを
簡単に見てゆくことで
コラムを読んでくれた方が
これからの帳簿書類の保存の在り方について
考えるきっかけになってくれればと、思う次第です。
個人的には、いずれデータ保存が主流になり
紙保存とデータ保存のどっちいいかといった議論は
ほとんど意味のないものになってしまうような気もしますが
それとともに
顧客の帳簿書類が棚にずらっと並んでいる
昔ながらの会計事務所の風景が
今後、徐々に風化してゆくと思うと
一抹のさびしさを感じたりします。
電子帳簿保存法については
今後の改正も含め、まだまだ目が離せません。
改正とともに
帳簿書類をめぐる景色が、今後、どう変わってゆくのか
注視してゆきたいと思います。