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2019.08.25
税理士は必要か

税理士は必要か

2013年にオックスフォード大学の

研究者が発表した論文では

今後10年~20年で機械にとって

代わる職業が約700ほどあげられています。

そのなかには

税務申告書代行者や薄記、会計、監査の事務員

も含まれていますが

近い将来、税理士は必要でなくなってしまうのでしょうか?

税理士試験の受験者数も減っている

このオックスフォード大学の論文が

出てからも税理士試験の受験者は

減少の一途を辿っています。

税務や会計は機械にとって

代わるという認識が

税理士試験の受験生にも

影響を与えているのかもしれません。

思い起こせば

このオックスフォード大学の論文が

出たあたりから

某コンサルティング会社のセミナーなどでも

税理士業界は衰退期に入ったと言われ

本当にそうかも・・・

と思ったものでした。

税理士を目指す人が減ったとしても

それは当然のことと

言えるのかもしれません。

機械にとって代わられるのは本当か?

申告書や決算書は

いずれ機械が自動的に作ってくれるように

なるのかもしれませんが

今のところ、実務でこれらの書類を作成していると

本当にそうなのか

疑問に感じることがあります。

たとえば

法人税の申告書を作成する場合

会社ごとにどの別表が必要かを

判断するのは人間です。

機械は別表に入力した数字をもとに

税額の計算はしれくれますが

「交際費があるから別表15をつけよう。」

「青色欠損金があるから別表7をつけよう。」

といった判断まではしてくれません。

決算書を作成する場合も

ある意味、同様です。

決算書を作成する前に

試算表で過大な現金がある場合

のちのち銀行からの融資の審査で

問題視されることがありますが

この過大な現金について

チェックし、説明を求め

試算表を修正してゆくといった判断は

いまだ人間が行っています。

機械は仕訳入力した数字を集計し

自動的に総勘定元帳や決算書の作成は

してくれますが

金融機関の目までは意識してくれません。

すなわち、今のところ

税務申告や会計の実務において

機械は計算を自動的にしてくれるものの

計算の前提となる判断まではしてくれないのです。

税理士が必要な理由

近い将来

機械がこうした判断能力まで

もつようになれば

本当に税理士は必要なくなるのかもしれませんが

今のところは

税理士は社会に必要とされていると感じます。

その理由をいくつかあげてみます。

税理士が必要な理由①課税庁と納税者のギャップ

毎年、税制改正が行われるなか

税法はますます複雑になっています。

いくら機械で書類を作成できても

その書類の様式等が翌年には変わることもあり

書類の内容について理解できないと

結局、処理を誤ってしまいます。

年々、税制が複雑化してゆくと

課税庁と納税者との情報格差が広がってしまうのです。

こうした課税庁と納税者の間に立ち

申告内容の説明をできるのは

税理士だけです。

税理士が必要な理由②帳簿

機械で帳簿をつけられるようになった

といっても

帳簿をしっかりつけられるかどうかは

テクノロジーというより

人間の性格によるところが多いと感じます。

真面目な性格の人は

毎月、資料を会計事務所に渡し

試算表を求めますが

そうでない人は

毎年、確定申告ギリギリで

資料を会計事務所に渡すため

ギリギリまで資料の督促を

何度も繰り返すこととなります。

こうしたことは

オックスフォード大学の論文がでる

ずっと以前から会計事務所と納税者の間で

行われてきたことです。

帳簿の整理が人間の性格によるものである限り

納税者に資料を督促する

会計事務所や税理士の役割はなくならないと思います。

税理士が必要な理由③ワンストップな相談相手

税理士事務所にいると

1年中、社会保険の相談を受けます。

このほかにも

・起業や会社設立

・融資や相続、贈与

・資金繰りの予測

・前オーナーの給与の未払い

・離婚の際の養育費の負担

・税務調査

といった事業やお金に関することは

なんでも税理士に相談する人が

世の中には一定の数います。

起業の際

税務署は法人の設立届出書などの

税務書類は受け付けますが

創業融資の相談まで受け付けません。

逆に日本政策金融公庫は

創業融資の相談には乗れますが

税務署に提出する書類の作成までは

してくれません。

こうしたことをワンストップで

できるのは税理士だけです。

まとめ:税理士と機械

かつてアメリカの自動車王

ヘンリー・フォードは

馬車が公道を走っていた時代に

機械を走らせることに情熱を注ぎ

20世紀は自動車社会が実現しました。

とはいうものの

馬車であれ自動車であれ

操縦するのは人間である点は

変わりませんでした。

こうした状況は

今のところ、税理士と機械にもあてはまります。

これまで人間の手で行っていた仕訳入力が

機械によって行われるようになっても

仕訳が正しいか間違っているか

判断するのは、今のところ人間です。

そうである以上

テクノロジーの発展で

会計事務所の作業量が減ることはあっても

今のところ、税理士は必要かと思います。

 

 

 

 

 

 

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