副業、NFT・FTなど
これからの確定申告で模索しそうな
所得区分について、考えてみたいと思います。
目次
・副業と事業所得、雑所得
・NFT・FTと給与所得、事業所得、一時所得、雑所得、譲渡所得
・模索する所得区分
国税庁の令和4年10月7日の
パブリックコメントでは
本業か、副業かを問わず
収入金額が300万円以下であったとしても
帳簿書類の保存があれば
原則、事業所得に区分されるとしています。
かねてから、副業をめぐっては
収入300万円を超えないものは
雑所得に区分されるとしていましたが
多くの反対意見を受け
修正するかたちになりました。
今後の確定申告では
社会通念上、事業的規模かどうか
ということをふまえつつ
帳簿書類の保存も確認しながら
副業の所得区分について
模索することになりそうです。
NFTやFTが暗号資産などの
財産的価値を有するものと
交換できる場合、所得税が課税されます。
NFTやFTの場合
財産的価値がなければ
所得税が課税されないとされることから
確定申告の所得区分について検討する前に
確定申告の対象に含めるかどうかを
検討する必要があります。
NFTやFTは、取得した場合と譲渡した場合で
それぞれ、所得区分が異なります。
雇用関係上、NFTやFTを取得した場合、給与扱いとなりますが
雇用関係がなく、独立している立場等でNFTやFTを取得した場合
事業所得、一時所得、雑所得のいずれかに区分されます。
NFTやFTを取得した場合の所得区分は
建設業で従業員だった人は、給与所得
独立して一人親方となった人は、事業所得
といった従来の所得区分がイメージできれば
事業所得と一時所得、雑所得の区分は
それほど、難しいものではないと感じます。
一方、NFTやFTを譲渡した場合
譲渡所得、事業所得、雑所得のいずれかに区分されます。
所得区分の分類に際しては
NFTアート、NFTトレカ、NFTゲームなど
NFTの分類を整理する必要があります。
NFTアートを価値が上がったことで
譲渡した場合、譲渡所得になると考えられますが
その他のアイテムの場合
資産の分類や取引の実体に応じて
譲渡所得、事業所得や雑所得の区分をしてゆく必要があり
どの所得区分に分類してゆくかは、悩ましいと感じます。
NFTやFTの場合
このコラムを書いている段階では
まだまだ法整備が追い付いていない状態です。
そのため、今後の法整備の状況をふまえつつ
確定申告では、その所得区分について
模索することになりそうです。
働き方の多様性やブロックチェーン技術の発展など
急速な社会の変化に対し
どの取引をどの所得区分に分類するか
といった議論は、模索を続けています。
税理士という立場上
関与先からは、税務相談などを通じ
明確な「答え」を求められることは
多いですが
こうした所得区分では
「答え」をすぐに出すことよりも
国税庁のパブリックコメントなどをヒントに
模索する姿勢も必要だと思っています。