起業相談ではよく
最後に税理士報酬について聞かれます。
起業の際はお金がないので
税理士報酬は格安がいいとよく言われます。
起業する人にとって朗報なのか
税理士報酬の相場は低価格化が進んでいます。
このコラムでは
起業には朗報と思われる
現在の税理士報酬の相場の低価格化
や税理士報酬の設定のポイントについて
実例を踏まえ、明らかにしたいと思います。
目次
□起業前に確認したい日本税理士会連合会の調査に見る税理士報酬の相場の低価格化
・税理士事務所の法人の決算報酬の相場
・税理士事務所の法人の決算報酬の低価格化
・税理士報酬の低価格化の背景
□税理士報酬を低めに設定する7つのポイント
①個人か法人か
②会計処理を顧問先がするかどうか
③訪問回数
④顧問料の範囲はどこまでか
⑤報酬のランク付けの根拠
⑥消費税申告の有無
⑦融資、会社設立サポートとの兼ね合い
日本税理士会連合会では10年に一度
税理士実態調査を行っています。
その最新版からは決算報酬の相場と低価格化が読み取れます。
起業前に税理士と付き合うなら
おおよその税理士報酬の相場感をつかんでおきたいところです。
第6回税理士実態調査によると
法人の決算報酬でもっとも多い価格帯は
20万円以下となり全体の42.5%です。
それぞれの価格帯を平均すると
決算時の税理士報酬の相場は25万円くらいと考えられます。
なお、決算時の税理士報酬の相場は
地域や会社の規模などによって変わるのでご注意ください。
第5回税理士実態調査から10年たち
決算時の税理士報酬の相場は低価格化傾向となりました。
具体的には
決算時の税理士報酬は下記のように低価格帯で増加しました。
20万円以下が1.7ポイント増
10万円以下が1.2ポイント増
5万円以下が0.6ポイント増
この税理士報酬の低価格化は起業する人にとっては
朗報かもしれません。
税理士報酬の低価格化の背景には
税理士の登録者の増加があると思います。
2003年の税理士登録者は66,674人だったのに
2013年には73,725人と1割増えています。
これに対し
廃業する法人の約3倍の新設法人が毎年設立されてます。
税理士が増え供給が過剰になりつつあるなか
会社を設立して起業するかたが増えると
その分、税理士報酬の低価格化には拍車がかかります。
税理士報酬の設定のポイントは
税理士事務所によってまちまちですが
7つほどあげてみましょう。
これまでの税理士報酬低価格化の流れをひきつぎ
税理士報酬を低めに設定する7つのポイントです。
起業の際は、個人か法人かを選択します。
起業したばかりの段階では
個人のほうが法人より規模が小さいことも多く
税理士報酬は個人のほうが低めに抑えられる傾向にあります。
個人で起業する場合
年商が1000万円に満たないようであれば
税理士と顧問契約せずに
確定申告だけ依頼すれば
税理士報酬は低めに抑えられると思います。
日々の会計処理を顧問先が行い
税理士に決算だけ依頼すれば
税理士報酬は低価格で抑えられます。
ただし、税理士報酬を抑えられるかわりに
簿記の勉強などが必要なので
時間と手間がかかります。
税理士事務所の訪問回数が少ないほど
税理士報酬は低く抑えられます。
なぜか。
訪問の際の移動時間は税理士事務所に限らず
実務が稼働しない時間です。
その分の生産性を確保するためにも
訪問回数が多いと、税理士報酬は高めとなります。
顧問料として支払う
税理士報酬の範囲はどこまでかを
見極めると税理士報酬を抑えられるかもしれません。
税理士事務所によって顧問料のとらえ方は違います。
顧問料の主な内訳はおおむね以下のようなものです。
・仕訳入力
・税務相談
・節税対策
・源泉徴収事務
・経営相談
・経理相談
このうち、自社でできる範囲はどこまでか
どこから税理士事務所に依頼するかの
線引きを税理士事務所との間で明確にすると
税理士報酬は低く抑えられると思います。
税理士報酬のランク付けの仕方もさまざまです。
・売上高
・売上総利益
・資本金
・従業員数
・業種
などを総合的に勘案して税理士報酬は決まってゆきます。
税理士報酬を低く抑えるには
これらの要素のなかから自社の利点を強調することです。
例えば売上は多いけど
売上総利益は少ない場合など
同じくらいの売上の他社に比べ
税理士報酬を低めに設定できる可能性があります。
消費税の申告はすべての事業者が行うわけではありません。
起業したばかりだとなおさらです。
消費税の申告があれば
税理士報酬も高くなります。
消費税の申告がなければ
申告書を作成する手間が税理士事務所として減る分
税理士報酬を低めに設定できるかもしれません。
税理士報酬は
オプションサービスとの兼ね合いで設定できます。
オプションサービスとは
起業するかた向けには
融資や会社設立のサポートです。
起業する際に、融資サポートとして
日本政策金融公庫の創業融資の申請の代行を依頼する場合
税理士顧問契約とセットなら税理士報酬は低めに設定できます。
逆に起業する際に、会社設立サポートとして
税理士顧問契約とセットで
税理士事務所が会社設立の手数料を建て替える場合
税理士報酬は高めに設定されることもあります。