会社を設立したら
合同会社であれ
株式会社であれ
役員報酬を支給しなければなりません。
このコラムでは
会社設立の際の
役員報酬設定のポイントについて
簡単にふれてみたいと思います。
会社設立の際に役員報酬の設定をし
12月までの給与の支払い額が確定したら
多くの方が年末調整をすることとなります。
年末調整とは
役員報酬から徴収される源泉所得税の
精算手続きです。
源泉所得税の額は国税庁の
源泉所得税の税額表に基づき徴収しますが
この税額表通り徴収すると
だいたい多めに徴収されます。
この税額表には
個々人の生命保険料控除や
住宅ローン控除などは反映されていないからです。
年末調整ではこうした各種控除を
年末に行い
源泉所得税の清算をする手続きです。
役員報酬の設定と
源泉所得税の徴収・清算はワンセットなので
会社設立の際は年末調整も
スケジュールに組み込んでおきましょう。
会社設立の際に役員報酬の設定をしたら
確定申告の有無の確認が必要です。
基本的に
個人事業主が法人成りした際には
事業所得と役員報酬の給与所得の
確定申告が必要となります。
また
会社に不動産を貸し付け
収入がある場合も
不動産所得と役員報酬の給与所得の
確定申告が必要となります。
会社設立の際に役員報酬の設定をする場合
源泉所得税の徴収とほぼ同時に
社会保険料の徴収と納付もはじまります。
社会保険料の負担は
会社設立の際に軽いものではありません。
会社設立の際に役員報酬の設定をする場合
役員報酬の金額と社会保険料の金額は
概算でもいいので見積もっておくといいでしょう。
会社設立の際に役員報酬を設定する際
気をつけたいのは
創業融資などの借入がある場合です。
会社設立の際の借入は
会社が役員から借りたものと
会社が日本政策金融公庫などから借りたものの
二つに大別されることが多いです。
これら借入の返済財源となるのが
役員報酬や減価償却費を引く前の利益です。
利益から役員報酬を目いっぱいとると
借入の返済財源がなくなるのでご注意ください。
会社設立の際に役員報酬を設定する際
まず会社の予想利益を見積もるといいでしょう。
予想利益を見積もる際は
社会保険料や借入があった場合の返済額なども
考慮します。
それらをふまえ役員報酬を目いっぱいとると
法人税の負担は極力抑えられます。
ただし、役員報酬が多いと
法人税の負担が抑えられる代わりに
所得税の負担が増えるのでご注意ください。
会社設立の際に役員報酬を設定する場合
基本的に一年間は定額です。
一年間は定額というのには
理由があります。
役員賞与は基本的に
会社の経費にならないからです。
役員は自分で自分の給与を決められます。
役員賞与が安易に経費となると
簡単に利益調整ができるため
会社設立の際の役員報酬には
夏のボーナスや決算賞与といった
発想は持ち込まないほうが無難です。
会社設立の際に役員報酬を支給する場合
給与支払事務所の開設の届出を
税務署に提出することなります。
給与の支給人員が10人未満であった場合は
源泉所得税の納期の特例承認申請書を
税務署に提出することもあります。
会社設立の際に役員報酬を設定する際は
こうした各種届出も必要となるので
ご注意ください。
これまでは
会社設立の際に役員報酬を設定する際の
留意点について書いてきましたが
会社設立の際に役員報酬を設定しない場合は
どうなるのでしょうか?
役員報酬を設定しない場合でも
会社からはお金は引き出せます。
代表的なのは
会社が役員へお金を貸し付けたかたちにすることです。
ただし、この場合
貸付金は資産であり
会社の経費とならないため
法人税がその分だけ出る可能性があります。
また
会社の経費とならない分
利益は水増しされたかたちとなり
見方によっては粉飾決算ととらえられ
金融機関の印象は悪くなります。
会社設立の際に役員報酬を支給する場合
設定前に会社の予想利益や
社会保険料の金額などの見積
設定後の各種手続きなどを経たほうが
よいと思いますが
必要以上に考えすぎても仕方ありません。
想定外が起きるのは当たり前なので
ある程度、考えたら
役員報酬の支給を開始し
事業年度終了後3月以内に見直しましょう。
役員報酬の適正額は
設定から1年経てば自ずと見えてきます。
会社設立の際の役員報酬の設定では
必要以上に考え込まないことも大切です。