税理士から経営のアドバイスがないと
不満に感じるかたがいます。
その要因のひとつは
税理士の多くが財務会計にとらわれている
からもしれません。
目次
・数字が苦手なのは社長さんだけでない
・管理会計と財務会計の違い
・管理会計と財務会計が一致しない理由
・管理会計の損益計算書のサンプル
関与先の社長さんと
お話していると
先月の売上はいくらだったか
概算も答えられない人もいます。
中小企業にとって数字は
毎月、チェックするものというより
年に一度、決算書で確認するもの
といったほうが実態にあっているかもしれません。
こうした認識は
税理士のほうにもあります。
決算書は申告書の土台であり
年に一度、税務署や金融機関に出せばいい
という認識です。
こうした数字に対する認識は
まさに財務会計のそれです。
年に一度、決算書を作成するために
仕訳をし、総勘定元帳を作成し
税務署等に報告して終わり。
ただし、残念ながら
こうした認識のもとでは
日々の数字をチェックする習慣が
育たず数字は苦手というか
数字はあまり関わりのないもの
となってしまいます。
簿記を学べば
試算表や決算書を読むことはできますが
簿記の目的は
過去の取引記録を整理し
税務申告や融資判断に役立てることと
なってしまっています。
こうした税務署や金融機関への
報告を目的とした会計を財務会計と言います。
財務会計で求められるのは
正確さです。
税法にのっとって経費を計上しているかどうか
勘定科目の明細をきちんと示したかどうか
こうした正確さが
財務会計では重要です。
こうした正確さがあればこそ
財務会計では
税金の計算が正確にできるからです。
しかし、こうした財務会計が
経営の役に立つかというと
そうでもありません。
多くの社長さんとは
概算の売上で話ができます。
経営判断には
財務会計のもつ正確さは
必ずしも必要ないのです。
経営判断で求められるのは
概算でもいいから
今後どう経営したらいいかです。
こうした問題意識に答えるものが
管理会計です。
管理会計は財務会計と異なり
企業内部の経営者や管理者のための
会計です。
財務会計が税務署や金融機関向けなのとは
対照的です。
管理会計の内容は
経営計画を立てたり
資金繰りを予測したり
投資の経済性を判断したり
と経営の役に立てることを目的としています。
管理会計は財務会計と異なり
過去ではなく、未来を志向することから
未来会計とも言われています。
財務会計と管理会計を
簡単に図式化すると以下のようになります。
財務会計＝過去会計＝税務署や金融機関
管理会計＝未来会計＝経営者や管理者
管理会計のもとで
経営計画を立てるとき
思い出すのは
「今月の目標 ○○工事 △△件受注」
といった張り紙の貼ってある
オフィスです。
この△△件受注といった数値目標は
財務会計で作成する決算書に
書き込むことはありません。
△△件受注できるかどうか
わかるのは1月後の未来です。
管理会計と財務会計が
一致しない理由として
しばしば
変動費と固定費を分けるのが管理会計で
分けないのが財務会計といったことも
言われますが
一番の理由は
経営に役立てる数値を引っ張りだせるか
どうかだと思います。
「今月の目標 ○○工事 △△件受注」
も管理会計なら
・利益を残すにはいくらまで値引きできるか
・どの製品を先に流すと効率がいいか
といったことも管理会計です。
変動費と固定費を分けるといいのも
そっちのほうが
売上や利益に対応する経費が何のか
わかりやすいからです。
このように管理会計では
会社で働く人間に使いやすいように
決算書を組み替えています。
財務会計があくまで
会社の外部の人間に報告するものなのに対し
管理会計が
会社で働く人間のものである以上
管理会計と財務会計は
基本的に一致しません。
管理会計の損益計算書のサンプルは
以下のようなものです。
この管理会計の損益計算書は
財務会計の損益計算書を作成したあと
数字を組み替えるだけなので
10分くらいでできます。
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