確定申告で生活費は経費になりませんが
個人事業主の場合
公私混同こそ節税の醍醐味だったりします。
目次
・確定申告で注意したい生活費の会計税務
・生活費と福利厚生費
・個人事業主の生活費と必要経費
・確定申告の際、生活費を経費に押し込む際の限界
確定申告における生活費といっても
個人事業主の生活費のみが問題になるわけでは
ありません。
会社役員の生活費を
会社で支出する場合もあります。
こうした生活費の会計処理は
一般的には、以下のようなものです。
①個人事業主の生活費の仕訳
事業主貸 ○○円 現金・預金 ○○円
②会社役員の生活費の仕訳
役員貸付金 ○○円 現金・預金 ○○円
会社の場合
福利厚生費のうち役員のみが
健康診断を受けていた場合は
福利厚生費 ○○円 現金・預金 ○○円
と仕訳しても
法人税の確定申告書では
別表4に役員給与として加算する必要があります。
個人事業主の確定申告では
法人税の確定申告のように
別表で生活費を加算するといったことは
ありえません。
会計上、生活費が経費となっても
税務上、生活費が経費にならないこともある
というのは、法人税の確定申告の
おもしろいところだと思います。
ちなみに
こうして役員給与とされた生活費には
源泉所得税も課されます。
生活費とよく似たものに
福利厚生費があります。
福利厚生費は確定申告では
生活費と異なり
原則、経費となります。
福利厚生費は
従業員の福祉の充実を目的とし
慰安旅行などのレクリエーション
や健康診断のための費用
スポーツクラブの会費など
幅広く含まれます。
この福利厚生費には
個人事業者本人の福利厚生費は
計上できないと
税務署は考えています。
会社役員の場合でも
役員のみのレクリエーションや健康診断費用は
役員賞与となり
会社の経費となりません。
ただし
個人でも会社でも
代表者を含み
全従業員で参加した慰安旅行などは
生活費か必要経費かの境目は微妙ですが
一般的な費用であれば、経費になります。
ちなみに会社の慰安旅行の経費の目安としては
以下のようなものです。
・一人あたりの会社負担額が10万円程度であること
・海外旅行の場合は4泊5日以内であること
・従業員の過半数が参加していること
個人事業主が確定申告で
生活費と必要経費を分けるポイントは
・事業の割合
・事業に関連
の二つです。
事業の割合とは
事業と生活費の総額のうち
事業の占める割合です。
自家用車であれば
平日は仕事で使い
休日は家族サービスに使えば
事業の割合は5/7で約70%と
なるでしょう。
自家用車以外には
自宅家賃や携帯電話の使用代といったものも
仕事と生活で按分することが可能です。
事業に関連とは
一見、生活費のように見えても
事業に関連するものであれば
個人事業主の必要経費にできるといった
意味合いです。
事務所にある
時計、電卓、机、パソコン、電話
トイレのブラシ、箒、スリッパ
乾電池、封筒、切手など
細かい支出も経費になります。
自宅で仕事をしていても
業界の専門誌や
来客用のお茶代やコーヒー代
仕事場の電球代
近くのコンビニでの資料のコピー代など
一見、生活費と思われるものでも
事業に関連するものを
探してゆけば、経費となります。
個人事業主の確定申告であれ
会社の確定申告であれ
スーパーやコンビニのレシートを
束にしてもってくるかたがいますが
これはグレーなので
やめたほうがいいと思います。
スーパーやコンビニのレシートを
丸投げされる立場からすると
生活費か経費かは
正直、よくわかりません。
確定申告の段階では
一応、お客様を信じ
これらは生活費ではないと思っていますが
本当のところは、よくわかりません。
こうした生活費を
経費に押し込む際の限界は
社会通念という概念に行き当たります。
平たく言えば常識や良識といったところ
かもしれません。
社会通念上
生活費も交じっていると思われる
レシートを大量に経費とするのは
やはりよくないのです。
会社の慰安旅行などでも
社会通念上一般的な費用の範囲であれば
経費にできますが
一人当たりの会社負担額が
30万円などとなったら
経費とならないでしょう。
確定申告の段階で
生活費と経費の境目をどう見極めるかは
最終的には
納税者の良識にかかっているのかもしれません。