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2020.01.18
簿記知識0|現代版:試算表の作り方・読み方

簿記知識0|現代版:試算表の作り方・読み方

試算表は仕訳帳から

総勘定元帳への転記漏れを

チェックするツールという側面がありますが

会計ソフトが普及した現在

それは過去のものとなりつつあります。

今後は試算表をいかに読めるかが

いっそう問われてくるでしょう。

目次

・今昔物語:試算表の作成の仕方

・試算表を使う3つのメリット

・試算表を読むには

・今昔物語:試算表の作成の仕方

昔の試算表の作成の仕方は

実に手の込んだものでした。

1/18 売掛金50,000円 売上50,000円

と仕訳帳に書いたら

総勘定元帳に

売掛金 1/18 50,000円

売上  1/18 50,000円

と転記し

それをさらに

合計試算表や残高試算表に転記していました。

仕訳帳を作成するのも人間

総勘定元帳を作成するのも人間だっため

金額や日付や勘定科目の貸借のミスを

チェックするため

試算表を作成して残高を合わせる

という作業が必要でした。

これが月に取引が30個程度なら

試算表の作成も苦にはなりませんが

月に300個も取引があったら

試算表の作成もなかなか大変です。

昔の試算表を作成するには

借方や貸方に分かれる

複式簿記の知識が必要でした。

実務では、試算表の作成にあたり

大量の仕訳を効率よく転記し集計するため

勘定科目の名前を書いたハンコや

卓越したそろばんの計算技術が必須でした。

こうした昔ながらの作成の仕方で

試算表を現在、作成しているのは

日商簿記検定と税理士試験くらいです。

現在、実務では仕訳の入力作業はあっても

総勘定元帳と試算表の作成は

パソコンが自動的に行います。

データはすべてパソコンに保管されるため

勘定科目名の入ったハンコは消え

そろばんもいらなくなりました。

現在、実務では人間が試算表を作成して

総勘定元帳への転記漏れを

チェックすることなどありえません。

また、最近では

クラウド会計が銀行データを

自動的に読み取り

仕訳入力そのものも不要となりつつあります。

会計ソフトに仕訳入力をする段階では

まだ必要であった簿記の知識も

AIが自動学習するようになると

簿記知識0で試算表の作成が

できてしまいます。

試算表の作成の仕方そのものは

日商の簿記検定3級で習うものと

変わりませんが

実務的には

試算表を作成するまでの工程で

人間の手が次第に

必要なくなってゆき

将来的に試算表を作成する

という作業もなくなってゆくのでは

ないかと思います。

人間が試算表を作成するのは

今後は、おそらく

簿記の試験の時だけでしょう。

・昔の試算表の作成の仕方

販売、仕入、人件費等の発生

    ↓

人間が仕訳帳に転記

    ↓

人間が総勘定元帳に転記

    ↓

人間が試算表に転記してチェック

・現在の試算表の作成の仕方

販売、仕入、人件費等の発生

    ↓

人間がパソコンに仕訳入力

    ↓

コンピュータが試算表を作成

・今後の試算表の作成の仕方

販売、仕入、人件費等の発生

    ↓

AIがデータを読み試算表を作成

人間が試算表を作成するのは

試験のときだけ

・試算表を使う3つのメリット

試算表は作成するものではなく

読むものと考えたほうがいいでしょう。

試算表を使う3つのメリットは

下記のようなものです。

・銀行対策ができる

・予実管理ができる

・税金対策ができる

試算表を使うメリット①銀行対策

事業年度の中途で

銀行からお金を借りる際は

試算表の提出を求められます。

銀行が試算表を求めるのは

お金を貸せるかどうか判断するためです。

銀行は総勘定元帳への

転記がきちんと行われているかを

チェックすることはありません。

試算表上、現金が過大かどうか

役員への貸付が過大かどうか

利益が出ているかどうか

資本金に比べ借入が過大でないかどうか

など、資産や財務状況について

試算表を通じて確認します。

日商簿記の試験では

銀行が試算表をどう見るかまでは

テストされませんが

実務上は総勘定元帳への転記が

正しく行われているかどうかより

試算表の現金残高が過大かどうか

のほうが大きな問題となります。

試算表を使うメリット②予実管理

試算表は

経営計画を立てた後の

予実管理でも必要となります。

試算表はその月々の実績です。

その月々の実績と予算を対比させ

実績と予算のズレを分析することで

経営改善をしてゆくことができます。

初心者のための予実管理の進め方

試算表を使うメリット③税金対策

試算表は節税にも使えます。

決算前に試算表を作成することで

来季に役員報酬を

あげるとしたらどのくらいあげられるか

小規模共済に加入するとしたら

どのくらいの掛け金なら大丈夫か

といった判断材料となります。

その際は

試算表上の利益と

現預金の残高を見ながらの判断となるでしょう。

・試算表を読むには

試算表を読むには

簿記の知識をつけるより

他の書類と比較するのがいいでしょう。

過去の決算書があるのなら

当期の試算表と過去の決算書を比較して

どこがよくなったのか

どこがわるくなったのかを検討します。

経営計画書があるなら

それと試算表を比較してもいいでしょうし

日本政策金融公庫の業種別経営指標と

試算表を比較して

同業他社と自社との差について

検討してもいいでしょう。

自己資本比率や流動比率といった

財務分析の指標のうち

健全と目される数値と比較することも

有効です。

 

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