税理士会のなかには
消費税の軽減税率制度に
反対する人も一定の数います。
反対理由は
①軽減税率により減少する税収分をおぎなう
代わりの財源がなかなか見当たらないこと
②軽減税率の適用品目を限定するのが困難なこと
③軽減税率の恩恵は高所得者にも大きいこと
④事業者の事務負担が増えること
などです。
現在の日本の税収60兆円のうち
消費税、所得税、法人税で
約8割をまかなっています。
消費税の軽減税率で
減少する税額は約1兆円と言われています。
これは
年収600万円のサラリーマンだと
年収が10万円も減る計算です。
この減収分をたばこ税の引き上げなどにより
埋めるのが政府の方針だとすると
サラリーマンにおきかえると
給与が10万円減った分
たばこなどは控えないといけない…
といったところかもしれません。
相続税の税収が約2兆円ということを
考慮すると、1兆減った穴うめを
するのは大変なことだと言えます。
みりんだと10%
みりん風調味料だと軽減税率8%
お酒は10%
ノンアルコールビールや甘酒は軽減税率8%
と言われても区別が難しいと思います。
こうした適用品目を限定するのが
困難だった物品税の時代に逆上するのは
どうかという議論もあります。
総務省の家計支出に関する
統計などをみても
軽減税率の対象となる食料品の
支出は高所得者ほど増えています。
となると
食料品をたくさん買える人ほど
軽減税率の恩恵を受けることとなってしまいます。
軽減税率の導入は
標準税率との区分経理による
税額計算をする必要があり
煩雑と言えます。
これまでの単一税率のもとでは
こうした手間は必要なかっただけに
事務負担は増えると予想されます。
税制と税理士会の歴史を
振り返ると
国税通則法の改正などに
税理士会の影響が見られるものの
消費税法の改正などには
大きな影響を与えたとは
考えられません。
そのため
こうした軽減税率への反対意見は
すぐに税制改正などに
影響を与えないと思います。
ただし
今後、軽減税率制度がスタートするなかで
多くの人にとって望ましい税の在り方を
考えるうえで
こうした意見も一つの参考となるでしょう。