国税庁によると
令和2年から年末調整の電子化が
本格的になるようです。
目次
・そもそも年末調整とは
・スマート税務行政と年末調整電子化
・年末調整電子化のスケジュール
・電子化前の年末調整
・電子化後の年末調整
・年末調整電子化のメリット
・年末調整電子化の影響
そもそも年末調整とは
1年間の給与総額が確定する年末に
その年に納めるべき税額を正しく計算し
それまでに徴収した税額との過不足額を求め
その差額を徴収又は還付し精算する手続です。
要するにサラリーマンが
年末に還付金をもらえたりするあの制度です。
年末調整と確定申告を
同じようなものだと思う方がいますが
年末調整は給与所得者を対象としているのに対し
確定申告はすべての所得を対象としている点は違います。
年末調整の電子化といっても
他の多くの施策と連動しています。
国税庁が平成29年6月に発表した
「税務行政の将来像~スマート化をめざして~」
の2本柱のうち
「スムーズ・スピーディー化」のひとつとして
年末調整の電子化も行われる予定です。
年末調整の電子化は紙を使わない分
書類を手書きする時間を短縮します。
この流れのもとでは
税務相談もAIが行い
適切な回答を提供し相談時間の短縮が期待されるなど
効率よく税務を執行しようとする
課税庁の意図が強く感じられます。
年末調整の電子化は
令和2年10月に国税庁から無料提供される
年末調整控除申告書作成ソフトウェアを
ダウンロードしてからとなります。
令和2年10月以前にできることとして
年末調整の電子化にあたり
従業員等への周知が必要となります。
電子化前の年末調整は
①給与等の支払を受ける方が
保険会社等から、控除証明書等をハガキ等で受け取り
その記載内容を保険料控除申告書等に転記の上
控除額を計算する。
②配偶者控除等申告書など
年末調整の際に作成する各種申告書を作成する。
③①②を勤務先において集計し、年税額を計算
という流れで進められていました。
もっとも
実際、この通りできる会社もある一方
会計事務所側で
年末調整に必要な書類一覧というお知らせを作成し
控除証明書等の有無を丁寧に確認することで
年末調整を行う会社もあるのも事実です。
年末調整の電子化後は
①給与等の支払いを受ける方が
保険会社等から控除証明書等を電子データで受領
②電子データを年末調整控除申告書作成用ソフトウェアにインポート
控除額が自動計算された年末調整申告書データを勤務先に提供
③勤務先において、のデータを給与システム等にインポートして年税額を計算
という流れとなります。
要するにハガキ等の紙が
電子データに置き換えられるということです。
国税庁のHPから年末調整電子化のメリットを要約すると
従業員
・書類を手書きする手間が省ける
・電子だと証明書の再発行の手間が省ける
勤務先
・控除額の検算などが不要になる
・書類の保管の手間が省ける
と、いろんな手間が省けるようです。
年末調整の電子化ですが
従業員が少ないところでは
従来通り、紙で処理していたとしても
とくに変わりないでしょう。
最近では小さな会社でも
給与計算でクラウドソフトを使うことを
検討するところもあるようですが
電子化のメリットは
手間を省くことである以上
省くだけの手間が存在することが、前提です。
もっとも、将来的には電子化の流れは
規模の大小を問わず、進んでゆくものと思われます。
とりあえず紙でよしとするか
現在の手間を考えて電子化に切り替えるか
将来的に徐々に電子化に切り替えるか
令和2年からの年末調整電子化では
様々な思惑が交錯することでしょう。